2024年2月25日、オンラインにて行われた『“末梢神経"から見た疼痛治療〜肩こり・腰痛に対する難治性疼痛アプローチ』のセミナーを受講いたしました。
これよりも前に上肢編が行われており、今回は下肢編の内容となります。今回はまとめて振り返りをさせていただければと思います。
講師である萩原祐介先生のご所属は以下になります。
・東邦鎌谷病院 整形外科・手外科・末梢神経外科医
・電気通信大学 脳・医工学研究センター 客員准教授
・東京大学 大学院工学系研究科精密工学専攻 特任研究員
さて、今回のテーマは肩や腰に起こる難治性疼痛を末梢神経の観点から治療したら良い成績が出てるよという先生の臨床症例に基づいた内容になります。
萩原先生のその臨床例はすでに論文としてPlastic and Reconstructive Surgery Global Openに掲載されています。
上記文献によると、原因がよくわからない特発性の肩の痛みを持つ患者さんに対して、末梢の正中神経や尺骨神経に痛みがある部位へ神経ブロックを行うと痛みの改善や可動域の改善が見られたと報告しています。
こうした逆行性に起こる神経の障害はその症例も合わせて考えると非常にしっくりくることが多いです。例えば、捻挫後に起こる確率の高い慢性足関節不安定症(CAI)は腰痛と関連がある可能性を示唆する文献があります。
CAIを有するアスリートと接したことがある、というかサッカー選手はCAIのような症状に悩まされている割合が高いのですが、その中でもCAIの程度が強いアスリートはそのほかにも問題を抱えているケースが多かったです。
それが膝の人もいれば、股関節の人もいれば、腰の人もいれば、それら全部の人もいます。
この現象の説明として、運動連鎖の破綻がしばしば言われていましたが、説明としてイマイチしっくりこないことも多いと思ってました。そういった症例もあり得ると思うんですが、画像所見と一致しない症例が多すぎないですかねというのはあります。
ふむ、なんとも……と思っていたところに、今回の萩原先生のご講演がありましたので、食い入るようにアーカイブも含めて拝聴いたしました。
先生のもとにはテーマの通り「いろいろ試したけど良くならない」難治性の患者さんが多くいらっしゃいます。そのため、今回の発表を普段いらっしゃる患者さん全員に当てはめようとすると上手くいかないことも多いかもしれません。当然ですが。
一方で、足根管やstruthers arcade、手根管などの部位はとりあえず確認して、神経などにとって良い環境を作ってあげるのが良いのかなと思いました。我々が行う施術はドクターの手術と違ってそこまで時間も手間もかからないので。
また、振り返ってみると以前に師匠から教わり実践していた組織間リリースや神経モビライゼーションに関しても、繋がる点が大いにあるなと感動していました。そして、今回のセミナー内容を意識して実践してみたら、これが結構良い結果が出るものです。まさに点と点が繋がる瞬間ってやつで、非常に味わい深いセミナーでした。
慢性的な局所ストレスによる炎症反応、運動による全身的な高ストレス状態と、アスリートを診るうえで重要な示唆に富むことで、なんとなく痛い、画像所見もそこまでない、そういった方々に役立てたい内容となります。
授業で習った限りは、東洋医学でも末梢の経穴はよく使うみたいです。しかも手根管や肘部管、足根管がある部位には重要とされる経穴もあった気がします。何かしら関係はあるのかもしれませんね。この部分は、自ら深掘りしていきたい課題であります。
さて、今回のまとめは以上になります。セミナー参加報告ばかりで申し訳ございません。何かリクエストがありましたら、ご気軽にお知らせください。
なお、普段はアスリートを中心に施術やトレーニングを行っています。お困りの際は、一度お問い合わせいただければと思います。必要であれば、他の専門家をご紹介する場合もございます。