top of page

【セミナー参加報告】運動器機能医科学インスティチュート・設立2周年特別企画・腰痛に対する理学療法

更新日:4月5日


20204年3月10日に京都にて行われました、『運動器機能医科学インスティチュート・設立2周年特別企画・腰痛に対する理学療法を私たちはこう診て、こう考える』に参加してきました。


金曜日に石川県に出張し、土曜日は神戸で友人の結婚式と移動が続いた中での最終日だったので、1人スーツケースのサイズがおかしい中での参加となりました。周りを見ると、意外と若い人が多く男性9割といったところでしょうか。以前から思っていたことですが、セミナーとか学会とかに行くとほとんどが男性なのは、そもそも業界の構成がそうなっているのか、他の理由があるのか、ちょっと気になっています。


さて、今回のセミナーですが、腰痛に対する評価と介入を3名の方がそれぞれ行うという趣旨で開催されました。腰痛は肩こりに並ぶ国民病ともいえるものですので、腰痛には強くありたいものです。近年では、非特異的腰痛がほとんどという見解に対しては否定するような研究も出てはいますが、その真偽は定かではありません。


そんな腰痛に対して、講師の方々は非常に有名なPTでありますので、それぞれの知見をうかがえるのは興味深いと、参加してきました。


それでは、1つ1つ簡単に振り返ってみます。



①『腰椎前弯位を失った伸展時痛に対する評価と運動療法』(さとう整形外科 赤羽根良和 先生)


高齢者などで見られる腰椎が後弯してしまっている状態に対する腰痛治療になります。仙骨傾斜角(SS)と骨盤傾斜角(PT)を足した値のPelvic incidence(PI)、腰椎前弯角(LL)、PI-LLの値をレントゲンなどで評価し、PI-LLの値が10°以上のmis matchでは伸展時痛が起きやすいため、その結果生じる過剰なストレスによって腰痛が起きやすいのではと。


そして、この状態で伸長ストレスを受けやすいのが腰部多裂筋であり、その付近を走行する血管の圧迫や、関節包付着部に存在する疎性結合繊維の可動性、及び関節包の受容器周囲の環境に対して影響し、その侵害受容器や位置覚のエラーがさらに傍脊柱筋らに対して緊張をもたらすために疼痛が発生しやすいとのことです。


脂肪の浸潤など、器質的なものは変えられないけれど、その周りの環境や位置覚を介した運動パターンの変化を介して症状をよくすることは出来ると、お世話になっているお師匠さんからもうかがっておりますので、各論の部分や評価介入の考え方等、非常に納得しつつ楽しめました。



②『私たちが苦手な臀部痛・下肢痛を伴う慢性腰痛症例に対する理学療法』(運動器機能医科学インスティチュート 小野志操 先生)


下肢痛を伴う腰痛と言えば、神経系、特にヘルニアや神経根などの中枢に近い部分での問題を疑うことが多いかと思います。しかしながら、今回の資料でも掲載されていましたが、千葉にある東邦鎌谷病院の萩原先生の研究で末梢での神経絞扼がより近位の問題も引き起こす症例が紹介されています。


自分も先日萩原先生のセミナーを拝聴しましたが、多くの症例で遠位(特に手根管など)を治療すると肩の動きが改善され、足部(屈筋支帯など)の治療をすると腰部の問題も改善することが多いと紹介されていました。(今度の腰痛学会でもご講演されるそうなので、いきたいところです)


今回もまずはスクリーニングとして屈筋支帯やFDL、FDLあたりのクロスポイント、その辺りをチェックして、それから腰部もみましょうと。


そして、腰部のお話は胸腰筋膜(TLF)の治療へ。 TLFは3層か2層かといった議論もありますが、異なる筋同士の間には神経も走行するため、その部位の環境は重要になります。また、middle layerにある腰部筋間三角を満たす脂肪組織はその特性から滑走性などが低下しやすいと考えられています。


そのため、そこを狙って治療しましょうと。TLFやFasciaのお話は再度登場するお師匠さんがしばしば言及されていましたので、かなりしっくりくて脳汁があふれ出ていました。



③『肩甲胸郭関節機能と股関節機能から診た腰椎周囲筋群の筋緊張評価と運動療法』(平針かとう整形外科 岡西尚人 先生)


岡西先生のご講演は、腰部の問題を腰部だけにとどめず、周りもしっかり改善させていく必要があるとの背景と、すでにお二方が腰部にはよく触れていたことから(?)、肩甲胸郭関節や股関節の機能から腰部を考えていこうという趣旨でお話しされていました。


股関節と腰部はLumbo-Pelvic-Hip complexとして認知しておりましたが、肩甲胸郭関節に関してはそこまで明るくなく、大変興味深く拝聴いたしました。


肋骨を切除すると胸椎の可動域が向上したという研究より、肋骨の可動性を十分に保つために短肋骨挙筋の弾性を低下させるための方法を実技も交えてご紹介くださいました。


肩甲胸郭関節と腰部の関係は、デッドリフトなどの運動指導では頻繁に用いられることで、肩甲骨の下制内転位を作ってからデッドリフトなどを行うとエラーが出にくいという用い方をします。


今回も肩甲骨を内転位に持っていくと脊柱起立筋の緊張が低下するという実技を行なっていただきましたが、おそらくその状態が腰部にとっても心地よい状態なのかなと感じました。もしくは、TLFを構成する広背筋ー肩甲骨とか、下後鋸筋、外腹斜筋ー肋骨の関係とか…。先ほどTLFに触れた影響か、それに見えてしまいますね。


ただ、最後に岡西先生もおっしゃっていたように、急性期とかでもなくいけるならまずは局所から行こうと。それは間違いありません。痛い部位には、痛い理由があるので、遠隔の治療はあくまでその後とかでも良いのかなとは思います。


※ただ、小野先生のご講演で出てきた末梢の神経系の関与も考えられますので、その順番や精度などはこれからより磨いていきたいところです。



さて、今回のまとめは以上になります。

アスリートを中心に施術やトレーニングをしています。ご興味ありましたら、まずはお問い合わせいただければと思います。


※必要に応じて各種専門家をご紹介する場合もございます。

閲覧数:10回0件のコメント
bottom of page