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【セミナー参加報告】第5回日本運動器理学療法超音波フォーラム

更新日:3月14日


2024/03/03、東京の文京学院大学にて行われた第5回日本運動器理学療法超音波フォーラムに参加してきました。


この会は読んで字の通り、超音波画像診断装置を用いた臨床研究や症例報告などが行われ、超音波を用いた理学療法のフロンティアともいえる会になっております。


今回の大会長は皮膚運動学などで有名な文京学院大学の福井勉先生で、世話人として運動器機能解剖学研究所所長の林典雄先生がいらっしゃいます。


少し長くなりますが、以下まとめになります。



◉シンポジウム1 「下肢Ⅰ」


①『ハイドロリリースの生体力学』(札幌医科大学整形外科 塩泡孝介 先生)


海外出張中とのことで、録画配信となりました。


ハイドロリリースが効果ある事はわかるけど、体の中で何が起こっているのか、詳しいところは未だ分かっていないため、それを生体力学的な観点から研究した報告になります。札幌医科大学さんの研究は大変面白いものが多く、頻繁に読ませていただいております。


ハイドロリリースは医師しか出来ないので、私のような鍼灸あん摩マッサージ指圧師が似たような効果を出すにはどのようにしたら良いのか、を考える上で非常に興味深かったですね。


その組織の酸素分圧の問題など色々と言われてはいますが、今後も注目してつつ自分でも試したいですね。



②『超音波画像による足関節背屈制限の病態評価と理学療法の実際』(川崎医療福祉大学 澳昂佑 先生)


サッカー選手でも非常に多い足関節背屈制限ですが、実際に何がどうなっているのか、その病態を前方組織と後方組織に着目して観察し、介入しましたという報告です。


前方組織としては、一般的によく言われているような距骨の前方、内旋変位による距腿関節でのぶつかりで、それはもちろん注目すべき部位であります。一方で、後方に痛みが出現する際には後方の組織をよく観察しましょうと。


enthesis organ conceptについても少し記載がありました。骨棘が出来るような部位、付着部での障害はしばしば重要な考えだと思っています。例えばアキレス腱炎も、アキレス腱実質の炎症なのか、腱上膜も含むパテラノンの炎症なのか、付着部の結合繊維の問題なのか、はたまた炎症はないのか、それぞれしっかりと評価しないと、その後の治療が変わってきます。


今回の足関節後方部痛も、もっと病態が分かればと思います。



③『長母趾屈筋腱における超音波動態評価のための解剖学的検討』(名古屋スポーツクリニック 河田龍人 先生)


足関節背屈制限の要因の1つでもある長母趾屈筋腱(FHL)ですが、その動態や解剖について詳しく調べましたという報告です。


FHLの腱が脂肪組織内を走行し、またその深層にも脂肪体が溝を埋めるような形で存在し、その動態がFHLの収縮に伴って近位に移動すると。解剖学的な研究と臨床の進め方、非常にワクワクする研究でした。



④『足関節捻挫後に生じる外果前方部痛と中間足背皮神経症状との関連性について』(名古屋スポーツクリニック 二村英憲 先生)


これまたサッカー選手でよくいる捻挫後の足関節底屈時痛の一要因であかもしれない中間足背皮神経に注目して介入してみたという報告です。


浅腓骨神経の分枝でありますが、症状誘発テストの考え方はこれまでなかったので、良いヒントをいただきました。また、いつ病態が発生するのか、受傷後の経過としてこの部位に起こる変化を追っていきたいなと興味が湧きました。



⑤『足関節後方部痛に対する超音波動態観察と治療戦略』(メディカルベース新小岩 久我友也 先生)


底屈時の後方組織がインピンジするなどで起こる痛み(PAIS)の患者さんを超音波で観察してどういった病態があるのだろうかという報告です。


PAISに関しては三角骨やStieda結節などの骨性か脂肪体や滑膜、関節包、腱鞘などの軟部組織性なのかといった評価が一般的ですが、三角骨やStieda結節などは存在しても無痛な方もいるわけなので、個人的には軟部組織から考えていきたいなと考えています。その上で、超音波エコーを用いた評価は重要だと考えているので、非常に興味深い内容でした。


発表で言及されていた距骨の動態と骨形態の特徴、及び軟部組織の動態は非常に納得です。カーフレイズで過剰に距骨内旋が入る人、サッカー選手や捻挫癖のあるアスリートでしばしば観察できます。慢性足関節不安定性症患者の足圧が前外方に変位傾向があるという報告も見ましたが、そういった傾向はしっかりと修正していきたいですね。




⑥『踵部痛患者におけるheel fat padの構造変化』(早稲田大学大学院 松本正知 先生)


サッカー選手は基本的に足部の問題が多いので、今回の踵部痛ももれなくサッカー選手に多い印象です。本発表は足底の脂肪組織(HFP)を荷重下で観察するのが難しいところを、特別なパッドを用いて評価しましたという報告です。


サッカー選手だと多いのは、スパイクの突き上げで踵が痛くなってしまうパターンです。確かに取り換え式スパイクとかなら踵部分が2本の金属パーツのみで支えてるなんてこともあるわけで、その突き上げで痛くなるというメカニズムは分からなくもないです。


しかしながら、実際に痛める人もずっと痛かったわけでは無く、何かのきっかけに発症したり、踵2本のポイントがあるスパイクを履いてガンガンに動く人もいる一方で、4本の非金属のポイントでも痛める人がいるのは、何か説明としてしっくりこなかったので、非常に興味深く拝聴してました。


先行研究ではHFPの厚さと痛みに一致した報告がないとされているようですが、もっと細かく、深層のmacrochamberと浅層のmicrochamberの2層構造がそれぞれどういった形で変化するのかを超音波にて観察してみると、立位時にはmacrochamberの変形がメインで衝撃吸収をしているようです。このmacrochamberの変形が過剰だと、痛みとなるのではと。


じゃーどうしたらというのはまた別で難しいのですが、一般的なヒールパッド以外にも介入を出来るように考えていきたいですね。




◉特別公演1『超音波と手で挑む尺骨神経障害』(運動器機能解剖学研究所 林典雄 先生)


林先生のご講演です。林先生のセミナーを受けに何度も岐阜に通っておりますが、今回のお話も大変面白かったです。


自分は投球系の競技に携わった経験がないので頻度などは分かりかねますが、肘内側の痛みを抱えるピッチャーは非常に多いようです。その時にMCLの損傷なども可能性としてはありますが、だとしたら明確な受傷起点や強い痛みを呈するはずなのに、VASでいうと4~7くらいの痛みがじわじわと湧いてくるのはなんででしょうといった導入から始まりました。


神経自体も血液供給を受けており、神経内の虚血は致命的なダメージとなります。今回も林先生からは、そういった神経関連症状に基づいた臨床での評価、治療方法を体系立ててお話しいただけました。


本日も非常に楽しかったです。




◉シンポジウム2「下肢Ⅱ・体幹」


①『ACL再建術後の膝伸筋強化における安全性の検証』(行岡病院 築田英紀 先生)


膝伸展の最終域近くでの筋発揮が日常生活などの機能においては非常に重要である一方で、そこでレッグエクステンションをやると前方剪断力がかかるから危ないけど、LSEという特殊な機械を用いたら安全にできるよね?という報告でした。


ものすごく単純ではありますが、こんなやり方も確かにありですねと参考になりました。



②『扁平足における荷重に伴う足部周囲の形態的・力学的特性』(北海道千歳リハビリテーション大学 小林匠 先生)


小林先生は書籍や論文、セミナーなどで存じ上げていましたが、現地でお話をお伺いするのは初めてです。足部のエキスパートという印象がありますが、本日も足関節についてでした。


偏平足の人が荷重をしたときの形態やエラストグラフィーでの組織弾性を評価したような報告になります。まだ結果からの考察が難しい段階ではありますが、まずは現象を捉えるのが重要ですね。


足底腱膜の面積が荷重で低下するというのは、林先生もご質問されていましたが面白い知見ですね。3~4層構造であることを踏まえると、もしかしたら踵部の脂肪体であるmicrochamberとmacrochamber的な役割の違いがあるのかもしれません、、、と想像を膨らませていました。あくまで想像ですが。



③『等尺性膝伸展運動が大腿四頭筋の安静時硬度と筋内血流に与える影響』(札幌医科大学大学院 山形一真 先生)


運動すると筋が硬くなる、というのは実感としてありますが、実際にエラストグラフィーや筋内血流量で評価するような文献を探したことが無かったので、興味深く拝見してました。


この辺りは自分が行っている血流制限トレーニングでも参考になりそうなので、関連文献を見ていきたいなと思います。



④『人工股関節置換術後における股関節周囲硬度の経時的変化と疼痛との関係』(慶友整形外科病院 長南晴樹 先生)


自分はTHA患者さんと接する機会はおそらくかなり少ないんじゃないかなと思いますが、筋硬度の経時的な変化から理学療法のアプローチを考えるという視点が面白かったです。



⑤『脊髄神経後枝内側枝由来の頚部痛を考える』(たなけん脊椎眼科クリニック 水野弘道 先生)


筋が何層にもなっている所などにおける末梢神経障害などは比較的問題とされやすいかと思います。例えば胸背筋膜なども同様ですが。その中でも、今回は脊髄神経後枝内側枝由来の痛みについて、その評価方法や治療方法について考えてみましたと言った内容です。


半棘筋と多裂筋の間に走行する末梢神経の状況をよくするために、どのように評価をして操作を行うのかについては、やはり解剖学の知識技術が重要ですね。自分はこの後枝内側枝以外にも、板状筋の深層にある脂肪に富んだ組織の影響も大いにありそうだなと感じています。


結果として、どこに影響が加わって症状が改善しているのかはわかりませんが、色々な評価や介入を通して精査していきたいですね。




◉特別講演2『下肢スポーツ障害に対する超音波診療の現在地』(帝京大学 スポーツ医科学センター 笹原潤 先生)


以前、帝京大学の根井先生のお話は伺ったことがあるのですが、笹原先生のお話は初めてになります。


超音波を用いて診察を長年行ってきた先生が考える超音波診察の現在地とのことで、様々な症例を拝見させていただきました。屈筋支帯の損傷、たくれた靭帯の病態観察や手術適応のお話などはやはり現場に立たれている先生出ないと分からない貴重なお話でした。


診察は出来ないにせよ、自分もエコー欲しいです。スポンサーさんお待ちしてます。




◉シンポジウム3「上肢」


①『大学野球選手における上腕骨頭後外側不整像の病態解釈』(トヨタ記念病院内田智也先生)


上肢に関しては、ついていくのに精一杯です。


上腕骨頭の後外側をエコーで観察すると、炎症のためか不整像が見られることがありますが、その病態はどういったものだろうという報告になります。


直接関係ある感想ではありませんが、大腿骨頭のbare areaにて損傷が多いことについて言及がありましたが、なぜそこにBare areaがあるんだろうと思いました。解剖学を追って行っても不思議なことが多い人体です。


投球動作におけるMERにBennettで起こる損傷の負荷を考えてみると、OKCで動くことの多い上肢の障害予防って難しいなと嘆いておりました。



②『一側上肢への負荷が反対側肩峰骨頭間距離に与える影響』(東京北医療センター 星和彦先生)


正直、あまりついていけなかったというか、結果や結論から何かを書くのが難しいなと...。また何かあれば、追記をしていこうと思います。



③『上腕骨頭の回旋動態観察による求心性評価』(足立慶友整形外科 古屋将 先生)


こちらは回旋の動態をエコーで観察して求心性を評価しようとの報告でした。ただ、こちらも自分の現状では何か言及することが難しかったので、何かあれば追記する形で対応させていただきます。



④『投球障害肘に対する局所的アプローチ』(メディカルベース新小岩 三輪智輝 先生)


投球障害肘に対する局所的アプローチとのことで、先生は正中神経に着目してアプローチをしてみましたという報告になります。先ほど、林先生が尺骨神経についてご講演された後で、正中神経について同じ投球障害肘を扱うのは難しいだろうなーと感じていましたが、発表内容は非常に面白かったです。


特に、内側の痛みでも正中神経の関節枝の分岐があるので、その関与もあり得ますとおっしゃっている辺りは、非常に味わい深かったです。というのも、先ほど林先生の講義で尺骨神経の関与の内側部痛をいくつかの部位で細かく説明された後であったため、この肘内側に起こる痛みの奥深さを噛みしめながら、講義を拝聴できました。



⑤『母指CM関節症の病態とリハビリテーション』(西川整形外科 大森康高 先生)


母趾CM関節症の病態とリハビリテーションで、前斜靭帯が重要であり、その影響を考慮したリハビリテーションを組み立てていくと。自分の短い臨床経験では、未だそういった患者さんとは出会っていませんが、非常に良い学びとなりました。


手の外科領域はその細かさから、触診の講義などでも非常に難渋した記憶があります...。それでもしっかりと解剖を理解して介入を行っていけるようにならないといかんですね。一生勉強です。



◉特別講演3『細胞はいかに力を感じているか-創傷治癒とメカノバイオロジー』(日本医科大学 小川令 先生)


完全に専門外の内容と思いきや、これまた師匠と言える先生が細胞などの基礎研究を行っていたこともあり、非常に興味深く情報を集めていましたので、今回も非常にワクワクしていました。


話の内容は基本的なメカノトランスダクションに関する内容で、細胞骨格レベルでその適応を起こしているかもとのお話はまさにファンタジー。細胞レベルの適応、面白いです。


また、先生は形成外科の先生なので、手術のケロイドや瘢痕をいかに作らないかを実践されています。その話の中で、運動に伴う皮膚の張力が重要とされており、座長の福井先生と共鳴されていました。


個人的に、「術後にじっとしておけばケロイド(っておっしゃってた気がします)ができない」と「細胞の活性に刺激が必要」というのが、刺激の二面性を感じました。一体どういった状態に、どの程度の刺激なら良い刺激で、どの程度からは過剰になるのか。近年は靭帯や筋の損傷でも、なるべく早期から適切な負荷optimal loadをかけていくのが良いとされる一方で、固定の安静がよいというものもあります。


細胞レベルでこの辺りのお話を質問したかったのですが、残念ながらお話出来なかったので、またの機会を期待したいと思います。




さて、今回のまとめは終わりになります。

実際にこういった場所に足を運ぶことは、さまざまな知見を得ることができるので、本当に楽しいです。


主に都内にてアスリートを中心に施術、トレーニングを行っていますので、ご興味のある方はお問い合わせより、よろしくお願いします。

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